にっぽん丸、鳥島周遊とアホウドリウォッチング
2007/3/15、にっぽん丸小笠原ツアーの帰りに鳥島を周遊。
鳥島は島全体が天然記念物に指定され、許可を受けた研究・調査・工事などを除き、上陸できません。船から鳥島を見るのですが、にっぽん丸のような大きな船では、浅瀬や岩礁が危険であまり島に近づけず、かなり遠くから観察することになります。
鳥島といえば、天然記念物のアホウドリ。
アホウドリは、クチバシから尾の先までの全長91cm、翼開長(翼を開いた差し渡し)210cmの大型の海鳥。海上ではグライダーのように優雅に滑空。しかし地上は苦手でよちよち歩き。
そのため、明治期に食料や羽毛目当てに乱獲され、一時は絶滅したと思われたアホウドリが、測候所の人に10羽発見され、1958年には天然記念物に指定、測候所の人々の努力もあって50羽以上に回復したが、火山活動の活発化で測候所も閉鎖。無人島に逆戻り。
研究者の東邦大の長谷川博教授は1976年からアホウドリの調査と保護に携わり、一人で無人島となった鳥島に長期滞在し、レトルト食品や雨水で生活など苦労しながら、アホウドリの生態や繁殖の研究と保護に尽力されてきました。アホウドリの生態、調査の結果や写真などは、東邦大学の理学部生物学科の長谷川教授のサイト、 アホウドリ復活の軌跡 をご覧下さい。
の中で、書かれているように、その道は決して平坦ではなく、火山灰の急傾斜地に繁殖するため、個体数が増えると草が傷んで地面が露出、泥流が起こってヒナが巻き込まれて死ぬなど増加が止まったことも。草を植えたり砂防工事、デコイで新しい繁殖地へ誘導などの甲斐あって、2003年に鳥島周遊ツアーに参加の時のお話では1500羽。1000羽を切ると絶滅が濃厚というラインを突破したと喜んで居られました。今年の調査では2000羽に近づく勢いらしいです。
2003年の長谷川教授を講師に向かえたにっぽん丸ツアーでの記念撮影。。というか鳥島を写したら振り向いた先生が写ってしまったので、この画像のみ小さいままで。
さて、今回は周遊することを事前に聞いていないので、放送があっても7Fデッキに上がってきたのはあまり大勢ではなかったようです。10:30過ぎには島影が見え、11:30くらいに南側から周遊開始。
アホウドリの繁殖地である燕崎に近づきます。ここは、クロアシアホウドリは少なく、アホウドリがほとんど。溶岩の上の砂礫地に少しの草が生えていて、鳥の数が増えてきたので、かなり住宅事情は厳しそうです。主人は長いレンズを持ってきてないので、標準で写すとこんなもんです。
私はスコープ+デジカメに挑戦しましたが、ここも暗礁があって近づけないのと、そのための変な横波で見た目以上に船が揺れ、これで精一杯。2003年の時はヒナを残して盛んに周辺海域で餌を取っていて乱舞していましたが、風向きが良くないのか、2,3羽しか飛んでいません。
座ってクチバシを背中に入れてじっと風に耐えているのや、餌取りから帰ってきたばかりなのか、カチカチとクチバシを鳴らして、つがいの相手とクラッタリングをする風景も。体の白いのが成鳥。体が黒くお腹側が白いのが若鳥。もっと幼鳥では、クロアシアホウドリのようにほとんど黒で、クチバシだけ黄色みを帯びている個体も。
ヒナが生まれて2ヶ月以上。だいぶ大きくなって、灰色でフワフワの親ほどに大きなヒナがそこかしこに見られました。長谷川教授の調査によると今年も200羽以上巣立ったそうです。
実はまだ噴煙が上がっている活火山。
そのため、噴火で全滅しないために、小笠原への移住計画が進行中とのこと。その前に、燕崎のコロニーが満員になってきたので、新コロニーへの誘導も進んでいるよう。まだ北西側の新繁殖地には、クロアシアホウドリのほうが数多く見られました。
下の画像を見ると左下にこちらを双眼鏡で見ている人達が写っています。長谷川先生のチームと思い手を振りましたが、今年は4月から調査されたそう。違う方だったらしいです。でも、船は汽笛を鳴らして上陸している方にご挨拶を。船長さんによると、手を振りかえしてくれたそう。
北側からの全景。中右に測候所の廃墟がリュウゼツランに囲まれていました。
もう一度燕崎の繁殖地を見てから北上。前々日シュノーケリングで一緒のご夫婦が来られたので、アホウドリと鳥島が天然記念物に指定されていることを説明し、スコープでアホウドリとヒナを見せました。鳥に興味の無い方でも、天然記念物というと、へえーと言って興味深げでした。
今回、鳥島を周遊したのはデジカメ教室の団体さんが乗っていたからリクエストでもあったのかもしれませんし、波高や航行スピードの状況などその場でなければ断言できないのかもしれませんが。。
判っていれば長いレンズを無理にでも持ってきてもらったので、可能性があれば教えておいてほしい気がしました。(主人はどうせ揺れて撮れないよ、と言ってます)
といいつつもアホウドリを久々に見て堪能し、スコープを持ったまま、昼食受付終了間際にレストランに駆け込みました。やっぱり松花堂弁当っぽいメニュー。
追記:周辺海域では、アホウドリ、クロアシアホウドリ、コアホウドリと、アナドリ、オーストンウミツバメが確認されました。
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